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タイムスタンプとは?電子データの改ざんを防ぐための技術のこと
タイムスタンプとは、電子データが作成された時刻情報を付与し、改ざんを防ぐための技術です。
総務省はタイムスタンプを「ある時刻にその電子データが存在していたことと、それ以降改ざんされていないことを証明する技術」と定義しています。
タイムスタンプを利用する理由や目的
電子契約を締結するとき、タイムスタンプが必要な理由は主に下記の3つです。
・電子契約書が「いつ作成されたか」を客観的に証明するため
・電子契約書が改ざんされていないことを証明するため
・タイムスタンプの有効期間(10年間)まで電子契約書の有効性を維持するため
契約書のような企業のやりとりにおいて重要な情報を記載している書類は決して改ざんなどされないように管理しておく必要があります。タイムスタンプがなく、電子上で管理をしていると情報を書き換えたり、情報を入力するタイミングを故意に遅らせたりなど簡単にできてしまいます。タイムスタンプ機能があることでこれを防ぐことが可能になっています。
タイムスタンプの仕組みと流れ
①A社がタイムスタンプを時刻認証局(TSA)に要求
②時刻認証局から時刻配信局に時刻情報を要求
③時刻配信局から時刻認証局に付与される
④タイムスタンプがA社に発行される
※ハッシュ値とは…電子データに付与されている、特殊な計算式により元データから導き出した固定の値。
元データが1文字でも変更されると必ずハッシュ値が変更される特徴がある。
タイムスタンプの導入には初期費用や月額料金が必要
タイムスタンプは電子契約を安全に締結するために欠かせない技術です。
しかし、タイムスタンプの導入には初期費用や月額料金のほか、タイムスタンプ1件あたりの発行料金が必要です。
とくに一般財団法人日本データ通信協会が認定した「認定タイムスタンプ」を利用する場合は、事前に料金体系を確認しておきましょう。
タイムスタンプの初期費用や月額料金の目安を解説します。
電子帳簿保存法対応なら「認定タイムスタンプ」が必要(TSA、TAA)
電子契約書を作成する場合は、電子帳簿保存法の条件を満たす必要があります。
電子帳簿保存法とは、契約書を始めとした国税関係帳簿書類を電子データで保存する場合の要件を定めた法律です。
電子帳簿保存法の要件を満たした契約書を作成するには、一般財団法人日本データ通信協会の認定業者が発行する「認定タイムスタンプ」を利用する必要があります。日本データ通信協会の認定業者は以下の通りです。(※2)
区分 | |
時刻配信業務認定事業者(TAA) | ・アマノ時刻配信・監査サービス for TSU ・セイコー時刻配信サービス |
時刻認証業務認定事業者(TSA) | ・アマノタイムスタンプサービス3161 ・セイコータイムスタンプサービス ・TKCタイムスタンプ ・サイバーリンクス タイムスタンプサービス ・MINDタイムスタンプサービス |
認定タイムスタンプを利用する場合は、サービスの導入費用や月額料金、タイムスタンプ1件あたりの発行手数料が発生します。
タイムスタンプの初期費用や月額料金の目安
タイムスタンプの初期費用や月額料金の目安について、日本データ通信協会の認定事業者であるアマノ社の「アマノタイムスタンプサービス3161」を例に紹介します。
・従量制メニュー
初期費用 | 月額料金 | タイムスタンプの発行費用 |
アカウント発行費用:1アカウントにつき6,000円 | 月額基本料金:8,000円 ※基本料金には1000スタンプ利用分を含みます。 アカウント管理費用:1アカウントにつき500円 | 1,000スタンプを超過した分につき8円/1スタンプ |
※価格は全て税抜きで表示しています。
・定額制メニュー
初期費用 | 月額料金 | タイムスタンプの発行費用 |
アカウント発行費用:1アカウントにつき6,000円 | 月額料金:問い合わせ | – ※秒あたりのタイムスタンプ数が制限 |
無料でタイムスタンプを発行することも可能!
PDFファイルなどで電子契約書を作成する場合は、無料のタイムスタンプサービスを利用してタイムスタンプを付与することもできます。
タイムスタンプの初期費用や月額料金、発行費用がかからないため、事業コストを削減できるのがメリットです。
ただし、利用するタイムスタンプサービスによっては、電子帳簿保存法の要件を満たしていない可能性があります。
電子契約書に使用するタイムスタンプは、原則として電子帳簿保存法施行規則第3条第5項第2号の規定に沿ったものである必要があります。
①当該記録事項が変更されていないことについて、当該国税関係書類の保存期間を通じ、当該業務を行う者に対して確認する方法その他の方法により確認することができること。
②課税期間中の任意の期間を指定し、当該期間内に付したタイムスタンプについて、一括して検証することができること。引用:問9 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存等を行う場合には、どのような要件を満たさなければならないのでしょうか。|国税庁
ただし、2022年1月より改正電子帳簿保存法が施行され、一定の条件を満たしたシステムを利用する場合はタイムスタンプに関する要件が緩和されました。
その場合、電子契約書に無料のタイムスタンプを付与することも可能です。
無料でタイムスタンプを発行する方法
無料でタイムスタンプを発行できるサービスは2つあります。
- Adobe Acrobat Readerのタイムスタンプ機能を利用する
- 「みんなのタイムスタンプ」を利用する
タイムスタンプサービスによっては、電子帳簿保存法に対応したタイムスタンプを無料で発行することが可能です。
タイムスタンプの発行方法2つの特徴をそれぞれ解説します。
※2022年6月時点の内容のため、情報が変わっている可能性はございます。
Adobe Acrobat Readerの機能で無料でPDFにタイムスタンプを付与する
Adobe社のAdobe Acrobat Readerには、電子署名やタイムスタンプを付与するためのAdobe Certified Document Service(CDS)が組み込まれているため、特別な設定なしにタイムスタンプを発行することができます。
また、アマノ社が発行するAcrobat Readerのプラグイン、「e-timing EVIDENCE 3161 for Acrobat」を利用すれば、タイムスタンプの発行と検証を同時におこなうことができます。
ただし、e-timing EVIDENCE 3161 for Acrobatはトライアル版としての位置づけのため、タイムスタンプの付与回数が100回までに制限されている点に注意しましょう。
「みんなのタイムスタンプ」で無料タイムスタンプを付与する
ベクター社の「みんなのタイムスタンプ」は、初期費用・月額料金無料でタイムスタンプを発行できるサービスです。
「みんなのタイムスタンプ」は電子帳簿保存法に対応しているため、「みんなのタイムスタンプ」でタイムスタンプを付与することで、電子契約書を安全に送付することができます。
ただし、タイムスタンプを付与するには50枚/1100円(税込み)の「TSチケット」を購入する必要があります。
タイムスタンプの付与1回につき1枚のチケットを消費するため、契約書1件あたり22円のコストがかかります。
また、タイムスタンプを付与した文書の保管期間が1年以上経過した場合は、契約書1件あたり1.1円(税込み)の保管料金がかかります。
すぐに使い始められる「みんなのタイムスタンプ」
みんなのタイムスタンプ実際の使い心地を確認してみよう。「みんなのタイムスタンプ」のページにアクセスしたら、「アカウント登録申込」画面でメールアドレスを入力して登録。登録したメールアドレス宛に手続きをするリンクが送信されるので、指示に従ってアカウントを作成する。
作成したアカウントにログインすると管理画面が現れる。まずは「TSチケットを購入」から、タイムスタンプ付与に必要な有料チケットを購入しよう。購入が完了したら、管理画面にある「ファイルを追加」からタイムスタンプを付与したいファイルを選んでアップロードし、タイムスタンプを付与するという流れになる。
筆者が実際に試してみたところ、PDFファイルにタイムスタンプを付与するまでにかかる時間はほんのわずか。直感的に作業できるので極めてスムーズにタイムスタンプを付与できると感じた。
タイムスタンプが付与されたファイルは「ホーム」にある「保管庫」もしくは「履歴」から確認できる。保管庫ではファイルをフォルダ形式で管理できる。
ちなみに、最初にアカウントを作成したユーザーは管理者権限を持っているので、さまざまな設定変更などが可能だ。保管庫に保存したファイルに対するアクセス権の管理や、IPアドレスを利用したアクセス制限なども設定可能だ。
従業員に「みんなのタイムスタンプ」を使わせたい場合は、管理者権限のないユーザーをアカウントへ追加するといいだろう。
タイムスタンプのコスト管理は、管理者権限を持つユーザーで表示される「会計処理」で行う。ここではTSチケットの購入履歴やタイムスタンプを付与した文書の数の他、TSチケットの残高も確認できる。「文書保管」では保管してある文書の「保管チケット」所有数などが管理できる。
なお、セキュリティ対策の強化としてログイン時にワンタイムパスワードを利用したい場合は、「アカウント設定」から「ワンタイムパスワード利用」の項目をオンにすればよい。ワンタイムパスワードを設定する項目の下にはIPアドレスによる制限をかける設定もあるので、自社で利用しているIPアドレス以外をはじく設定にしておけば、社外からのアクセスも防げる。
このように、「みんなのタイムスタンプ」はシンプルかつ直感的に使えることがお分かり頂けただろう。
「みんなのタイムスタンプ」をリリースしたベクターの狙い
「みんなのタイムスタンプ」を提供するベクターは、これまでに「みんなの電子署名」という電子署名サービスをリリースしている。実はこのサービスの中にタイムスタンプを付与する機能も含まれている。
しかし、改正電帳法の対応に伴って、「より簡便に大量の処理が行えないか」という要望が自社で挙がっており、より使いやすくした「みんなのタイムスタンプ」の開発を検討していた。「みんなの電子署名」でも改正電帳法には問題なく対応はできるが、「みんなのタイムスタンプ」では「一度に大量の文書を処理する」というニーズに焦点を当てて開発がスタート。「みんなの電子署名」の運用で得たノウハウを生かし、ユーザーが戸惑うことなく操作ができるようなUIも追求している。
そういったことから、特定用途向けの電子帳票管理システムの導入が困難なユーザーや、電子帳票にタイムスタンプを付与したいがやり方が分からないといったユーザーにも使ってほしいという。また、用途に応じて「みんなの電子署名」と併用すれば、電子文書の信頼性はかなり向上するだろう。
セキュリティ対策も万全に
「みんなのタイムスタンプ」では、アップロードされた文書をクラウド上で管理するため、「みんなの電子署名」と同等のセキュリティ対策が施されている。
具体的には、通信経路でのセキュリティを担保するために、一般的なSSLによる暗号化通信(https)や、ファイアウォールによる通信ポート制限はもちろんのこと、不正侵入を検知、防御するIDS/IPSと、Webアプリケーションへの不正なリクエストをブロックするWeb Application Firewallを設置し、サーバへのアクセスを常時監視している。
それだけでなく、セキュリティ専門会社に定期的な脆弱性診断を依頼している他、自社でもスキャンツールによるアプリケーションへの脆弱性診断を毎週実施している。
保管されたファイルは第三者が読み取れないように暗号化した上で保存している。さらにファイルを失うリスクを最小限にするため、文書ファイルを複数箇所のサーバに保存するなど、ベクターは最高水準のセキュリティとバックアップ体制を整えていると自負している。
誰もが便利を使いこなせるように
ベクターは「みんなのタイムスタンプ」や「みんなの電子署名」を通じて、専門的な知識やスキルをなるべく必要とせず、現場のエンドユーザーが簡単に使いこなせるような設計を心掛けている。世界的に見ても、電子契約や電子署名、タイムスタンプといったトラストサービス群において、日本はまだまだ遅れていると言わざるを得ない。ベクターは自社のトラストサービスを通じて、それらが当たり前となる社会を目指していきたいと考えている。
「みんなのタイムスタンプ」はサービスの提供開始から間もないため、より使いやすくするための要素を日々検証している段階だ。ユーザーから寄せられた意見や要望、ベクター社内から出た改善案などを取り入れて、よりよいサービスとなるように常に進化するサービスを目指している。
今後もさらに進化するであろう、「みんなのタイムスタンプ」。初期導入コストも低く、使い方も簡単なので、電帳法でタイムスタンプを付与するツールの導入を検討している人は試してみてはいかがだろうか。